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第2話 結婚調査
| 結婚調査珍事件 |
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いつものように私のデスクの電話が、けたたましく鳴り響いた。
女性にとって、結婚とは人生最大のイベントでもあり、夢見る乙女の最高の祝事でもあろう。
そして、出産はそれにも増して厳粛な、そして、将来の希望を育んだ喜びであると信じている。
しかし、このような女性にとって大きな希望でもあり、厳粛な「結婚」「出産」を踏みにじり、自分の欲望だけに走る男が存在していることも確かである。
電話の相手は若い女性で、依頼は次のような内容であった。
一年ほど前から34歳の男性と同棲中で、現在妊娠4ヶ月である。相手の男性は、子供が生まれるまでに結婚し、籍を入れると約束している。
浮気をしている様子は一切ないが、両親から念のために男性の素性を調べておきなさいという助言を受けたので、あまり深く調査して頂かなくても構いません。
以上のような内容である。
1年も前から同棲しているのであれば、相手の男性に関して把握しているのは当然である、ただ、両親を安心させるための裏付け調査をして欲しいということである。
早々、男性が経営する人材派遣会社の調査を行なったが、経営状況も評判も悪くなく、心配する要因は見つからなかった。
家族構成に関しても、申し分の無い状況で、親族に遺伝的疾患や持病などを患っている様子は見られなかった。
また、家族が所有する土地、家屋は、抵当には一切入っていない。過去において事件を起こしたことや、嫌疑を掛けられれたことも無い。
私は、依頼者に中間報告をし、懸念を掛ける点は無いと報告した。
依頼者は、これで両親に説得できますと喜んでいた。
後は、男性本人の性格や人なりを調べて調査は完了する筈であった。
そこで、現在男性は何処に居るのかと依頼者に聞いたところ、福井県に支店があり、一週間ほど出張中であることがわかった。
男性の会社から、福井県の支店住所地や電話番号を聞き出そうと連絡した所、様子がおかしい。
「福井支店ですか?福井って福井県のことですね?そんな所に支店はありませんよ」
などと返答が返ってきた。
早々、依頼者に連絡し、福井支店に出張中は間違いが無いか聞いたところ、間違い無いという。しかも、一ヶ月の内頻繁に福井県へ出かけるとの事である。
再度、男性の会社に電話をし、急用があるので社長の連絡先を教えて欲しいと伝えると、人材発掘のため全国を周っており、今は何処に居るかわからない、との返答である。
これはおかしい、社員までもが行先を知らされてはいない。
こういった場合は、男性の友人や両親に聞込みを掛けるのが一番であると判断し、九州に在住する男性の母親に電話した。
すると、どうであろう、母親からとんでもない話を聞かされることとなった。
「うちの子は今、新婚旅行でハワイに行っていますよ。」
両親も結婚式に出席しており、嘘を言っている様子はない。
そうなると、考えられることは、被調査者とハワイに行っている男性とは別人で、被調査者は他人に成済ましていることが考えられる。
急遽、私は九州に向かい、新婚旅行でハワイに行っている男性の実家付近で被調査者の写真を見せて、聞込みを掛けたが間違いなく同一人物であった。
私は、被調査者の実家に飛び込んだ。
「私、息子さんにお世話になったものですが、偶々こちらの方に来たもので、久しぶりにお会いしたいと思いまして・・・」
「息子でしたら今は新婚旅行でハワイに居りますが。」
「それは存じませんで、おめでとうございます、いつ頃お戻りになりますか?」
「5日後には福井県に戻る予定です。」
「ご新居は福井県ですか?」
「そうです。」
「お祝いをさせて頂きたいので、ご新居の住所をお聞かせ頂けますか。」
私は、被調査者の住所と結婚相手の氏名を聞き出し、その足で福井県に向かった。
福井県の住所先は賃貸マンションの一室で、家主に聞込む事とした。
その聞込みの結果、次の事実が判明した。
被調査者は、2年ほど前に婚約者の女性と二人で住む為にマンションの一室を借入れた。
男性は、大阪にて事業を行なっており、1ヶ月の内一週間程度しか在宅していないが、その間は婚約者の女性が一人で生活していた。
その婚約者は、妊娠している様子である。
私は、以上のことを聞き出し、会社に戻った。
被調査者は、依頼者と同棲生活を始める1年前から別の女性と婚約しており、福井県と大阪にて二重の生活場所を持っていたのである。
しかも、福井県の女性には6ヶ月になる胎児がおり、区役所に届出は出していないものの、結婚披露宴まで行なっている。
このような残酷な調査報告を、未来の希望を宿している依頼者にしなくてはならない。
調査に携わる者が、一番気落ちする状況である。
幸い、この依頼者と生まれてきた娘は、母子家庭ではあるが、今でも精一杯努力して生活しております。
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